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文献紹介 小児期発症円盤状エリテマトーデスは全身性エリテマトーデスへのリスク因子になりうるか
馬場 裕子
1
1慶應義塾大学
pp.588
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204505
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Systemic lupus erythematosus(SLE)のおよそ20%が20代までに発症し,成人と比較して重症かつ急速に増悪する可能性があるといわれる.Discoid lupus erythematosus(DLE)はSLE発症のリスク因子として知られるが,小児におけるリスクはいまだ解明されていない.そこで,臨床所見および血清学的所見よりSLE発症に起因する潜在的リスクを解明し,SLEを発症した患児に特異的な臨床的特徴を検証することを目的とした研究が行われた.
現在までに報告される中では最大規模の研究である,小児発症DLEが40症例集積された.最終的に38%の患者がDLEとSLEを合併もしくは経過中に併発し,全例がDLE診断確定より3年以内にSLE発症に至っている.特にDLE確定診断より1年以内に高いリスクを認めた.これらの症例は,対照群のSLE単独例と比較して,日光過敏症を呈する確率が有意に高く,重篤な臓器障害は比較的稀であった.またDLEを合併した小児SLE患者は中等度の全身症状に留まることが示唆されたが,小児発症DLEとSLEの関連を明らかにするためにはさらなる症例の集積が必要であるとしている.
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