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ひょんなことから周術期の皮膚傷害の臨床研究を始めた.臨床研究といっても研究費があるわけでもなく,まあ自由研究である.一般病院であり患者さんの臨床像・検査所見という目の前の限られた事実からどのように現象をとらえるかということになる.数年かけてやっと自分が疑問に思っていた現象の一端をとらえることができた.手術に伴う大事な合併症であり広く外科系の先生方に読んでいただきたいことから深く考えずに英語論文にしようということになった.といっても大学院を卒業して一般病院勤務が長くなった今,ここ数年日本語の症例報告を書いた程度である.まとめはじめたものの,①エクセルが使いこなせない,②統計処理の知識・ツールなし,③英語がひどい,などたくさんのハードルがたちはだかった.やればやるほど自分の力のなさにうちひしがれ,どんどん自信がなくなっていく.恩師である宮地良樹先生の言葉「publish or perish」を胸になんとか投稿まで漕ぎ着けたが,現時点では数誌にrejectされてという厳しい現実をかみしめている.私の自由研究はいつ合格点をもらえるのか,夏休みの宿題をまだだせずにびくびくしている子供のような気分である.大学の偉い先生から見たら単純な研究かもしれないが一般病院の勤務医でしかできない,勤務医だからできた臨床研究であると自負している.あきらめず近いうちに日の目をみる? ことを信じているが,acceptされて英文雑誌に掲載されたら掲載料が3,000ドルかかるということにあとから気が付いた.「publish or perish」ですが,地方公立病院の勤務医にとって3,000ドル自腹はきびしい.どうやって払おうかとacceptされてもいないのに悩みながら,今日もあわただしい外来をこなし小さな努力を続けている.
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