特集 急増する里帰り分娩
里帰り分娩と地方病院の困惑
柏倉 道子
1
,
佐藤 栄子
2
,
野村 雪光
3
,
荻野 博
4
,
品川 信良
5
1前聖母病院産科保健指導室
2公立岩瀬病院産婦人科病棟
3弘前大学医学部産婦人科教室
4国立公衆衛生院人口学部家族計画室
5弘前大学医学部産科婦人科教室
pp.396-410
発行日 1978年7月25日
Published Date 1978/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205400
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
品川 皆さんには,たいへんお忙しいところをお集まりいただきましたが,本日は,最近,あちこちで問題になっている里帰り分娩についてお話し合いをしたいと思います。
たとえば,非常に多くの助産婦さんが毎年出席される日本母性衛生学会なんかでも,里帰り分娩という1つのグループが設けられているくらいでございまして,社会医学的に見た場合には非常に大きな問題だと私は考えております。あとで皆さんからいろいろ統計的なお話なんかもお伺いできるかとは思いますが,私たちがざっと考えたところでは,現在,わが国の分娩の少なく見て10%,多く見れば20%ぐらい,すなわち年間の分娩数を180万としますと,18万から35〜36万ぐらいの分娩が里帰り分娩という範疇に入るんじゃないかと思われます。ただし,どういうものを里帰りとするかということで,この数はかなり変わってきます。私たちは里帰の第1の条件としては,かなり長時間かけて,かなり長い距離を妊婦が移動しなければならないということを考えております。また,第2の条件としては,それまでにかかっていた医療機関や医師・助産婦さんなんかと,分娩のときの郷里のほうの医療機関や医師・助産婦さんなんかが変わるということに注目しています。これが第2の非常に大きな特徴じゃないかと思います。また,第3番目の特徴としては,その間,御主人と離れて生活をするということが大切な点かと思います。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.