Japanese
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特集 臨床皮膚科—最近のトピックス
Clinical Dermatology 1989
I最近話題の疾患とその病態
輸血後GVHDとその病態—いわゆる"術後紅皮症"と輸血後GVHD
Post-transfusion graft-versus-host disease (GVHD) in patients without deficient cell-mediated immunity and its pathogeny
飯島 正文
1
,
野崎 重之
1
,
藤沢 龍一
1
Masafumi IIJIMA
1
,
Shigeyuki NOZAKI
1
,
Ryuichi FUJISAWA
1
1昭和大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Showa University
キーワード:
輸血後GVHD
,
術後紅皮症
,
輸血と免疫
,
HLAハプロタイプ
,
免疫組織学的迅速診断
Keyword:
輸血後GVHD
,
術後紅皮症
,
輸血と免疫
,
HLAハプロタイプ
,
免疫組織学的迅速診断
pp.575-580
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204123
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いわゆる"術後紅皮症"とは,輸血を伴う手術後小康を得た患者が術後10日目ごろより発熱・皮疹を生じ,下痢・肝機能障害・汎血球減少症を併発し敗血症などで死の転帰をとる予後不良の外科術後合併症である.本邦のみで報告のみられる特異な本症の病態は長らく不明であったが,最近その本態が手術時輸血による輸血後GVHD (移植片対宿主病graft-versus-host dis-ease;GVHD)であることが解明された.筆者らは十二指腸潰瘍に対する濃厚赤血球輸血後に生じた輸血後GVHD様症候群の自験例を紹介するとともに,GVHDとは何か,なぜGVHDが起こるのかを解説し,本邦特有のいわゆる"術後紅皮症"の原因としての輸血後GVHDが日本人のHLAハプロタイプの特異性および手術時輸血における新鮮血・生血の繁用によって生じていることを強調した.本症は血液製剤の輸血前放射線照射による発症予防が重要であるが,我が国の輸血の現状を考えると今後も発症が予想される.本症に対する早期診断法としての皮疹の免疫組織学的迅速診断法を提唱した.
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