Japanese
English
特集 臨床皮膚科—最近のトピックス
Clinical Dermatology 1989
I最近話題の疾患とその病態
Dysplastic nevus—2症例の報告と疾患概念の検討
Dysplastic nevus:Report of two cases and discussion on the disease entity
斎田 俊明
1
,
宇原 久
1
,
斉木 実
2
Toshiaki SAIDA
1
,
Hisashi UHARA
1
,
Minoru SAIKI
2
1信州大学医学部皮膚科学教室
2長野赤十字病院皮膚科
1Department of Dermatology, Shinshu University School of Medicine
2Department of Dermatology, Nagano Red Cross Hospital
キーワード:
dysplastic nevus
,
診断基準
,
疾患概念
,
病型と治療方針
,
malignant melanoma in situ
Keyword:
dysplastic nevus
,
診断基準
,
疾患概念
,
病型と治療方針
,
malignant melanoma in situ
pp.570-574
発行日 1989年5月15日
Published Date 1989/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204122
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Dysplastic nevus (DN)の2症例を報告した上で,DNの臨床的,病理組織学的特徴と病型分類について解説した.DNを多発する家系の者には悪性黒色腫(mm)の生じる危険率が高いことは確かだが,DNそのものがmmへと進展する前駆病変であるか否かについては,今なお議論が分かれている.本稿では,DNをmmの前駆病変とする従来の文献を批判的に再検討した上で,その疾患概念について考察を加え,DN自体はmmの前駆病変ではなくて,メラノサイト系の良性腫瘍の1病型であろうとの考え方を示した.文献上,mmへ進展したとされるDNやseverely dys-plasticと形容されるDNは,当初よりmmの初期病変,すなわちmm in situそのものであった可能性が高いものと思われる.DNを多発する患者のメラノサイトは,恐らくその遺伝子が不安定な状態にあって,良性,悪性の腫瘍細胞への形質転換を起こしやすいものと考えられる.DNに関するその他の問題点や研究課題,治療方針についても言及した.
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