Japanese
English
原著
粘膜苔癬より生じた頬粘膜有棘細胞癌の1例
A Case of Squamous Cell Carcinoma Arisen from Lichen Mucosae
武村 俊之
1
,
荒井 亮鈴
1
,
木裕 介
1
,
向井 秀樹
1
,
衛藤 光
1
,
古山 登隆
2
,
烏飼 勝行
2
Toshiyuki TAKEMURA
1
,
Akira ARAI
1
,
Yuhsuke SUZUKI
1
,
Hideki MUKAI
1
,
Hikaru ETO
1
,
Nobutaka FURUYAMA
2
,
Katsuyuki TORIKAI
2
1北里大学医学部皮膚科教室
2北里大学医学部形成外科教室
1Department of Dermatology, Kitasato University School of Medicine
2Department of Plastic Surgery, Kitasato University School of Medicine
pp.625-628
発行日 1987年7月1日
Published Date 1987/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203720
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54歳,女.初診より2年前に口腔粘膜に発赤を伴う糜欄局面あり,組織学的に粘膜苔癬と診断外来にて加療するも改善傾向を認めず,その後通院中断.2年後に,右頬粘膜の腫瘤を主訴に再び来院.組織像から,粘膜苔癬上に生じた有棘細胞癌と診断した症例を報告する.治療として広汎全摘術を施行し,局所再発,全身転移の徴候なし.扁平苔癬が悪性化したとする報告は現在まで150例に及ぶ.なかでも口腔粘膜に,臨床的に糜欄,潰瘍を呈するものに悪性化が多い.その誘因として不適切な治療,カンジダ感染,機械的刺激などがあげられる.さらに皮疹発生から悪性化までの期間は,平均2年と比較的短い.したがって,難治性潰瘍が慢性に経過する場合には悪性化することに十分留意すべきと考えた.
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