Japanese
English
原著
非典型的な組織像を呈したNeurofibromaの1例
An Unusual Case of Neurofibroma
勝俣 道夫
1
,
武田 康子
1
,
園田 民雄
2
,
三瓶 清恵
3
Michio KATSUMATA
1
,
Yasuko TAKEDA
1
,
Tamio SONODA
2
,
Kiyoe SAMPEI
3
1東京医科歯科大学医学部皮膚科教室
2伊豆逓信病院皮膚科
3関東逓信病院ウイルス研究部
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
2Department of Dermatology, Izu Teishin Hospital
3Department of Virology, Kanto Teishin Hospital
pp.911-916
発行日 1986年10月1日
Published Date 1986/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203541
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30歳,男子の左前腕に生じた15×12mmの弾性硬,表面淡紅色調で自覚症状のない腫瘤につき報告した.組織像は真皮中層から皮下脂肪織にかけ蛇行して複雑に入り組んだ被膜のない腫瘍塊で,腫瘍の大部分は円形ないし紡錘形の小型の核を有し,核の周囲にclear spaceを認める細胞集塊よりなる.一部では紡錘形の比較的大型の核を有する細胞集塊と豊富な膠原線維束塊よりなる部分も混在し,腫瘍中に多数の軸索と髄鞘よりなる神経束も認められた.免疫組織化学的検索では,S-100蛋白,myelin basic protein共に腫瘍内神経束は陽性で,腫瘍細胞は陰性であった.電顕的検索では腫瘍細胞の大部分を占める細胞は基底板を認めないものの,神経束との関係が密接なSchwann cellないしはperineural cell,endoneural cellに近縁の細胞で,腫瘍中に軸索やLuse bodyに類似した構造も散見された.以上より自験例は組織像がその典型例とは異なるもののneurofibromaに近縁の腫瘍と考えられた.
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