Japanese
English
原著
粘液腫様の組織像を呈した神経線維腫
Neurofibroma, Myxoid Variant
勝俣 道夫
1,4
,
佐藤 貴浩
1
,
江副 和彦
1
,
堀江 直茂
2
,
野崎 清恵
3
Michio KATSUMATA
1,4
,
Takahiro SATO
1
,
Kazuhiko EZOE
1
,
Naoshige HORIE
2
,
Kiyoe NOZAKI
3
1東京医科歯科大学医学部皮膚科学教室
2堀江皮膚科医院
3関東逓信病院ウイルス研究部
4伊豆逓信病院皮膚科
1Department of Dermatology, School of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
2Horie Dermatology Clinic
3Department of Virology, Division of Electron Microscope, Institute of Medical Information, The Kanto Teishin Hospital
キーワード:
粘液腫
,
神経線維腫
,
S−100蛋白α鎖・β鎖
,
basal lamina
Keyword:
粘液腫
,
神経線維腫
,
S−100蛋白α鎖・β鎖
,
basal lamina
pp.9-13
発行日 1990年1月1日
Published Date 1990/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412900002
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57歳,女子の右耳介上方に生じた7×6×3mmの弾性硬,淡紅色調,表面顆粒状で圧痛を伴う小結節につき報告した.組織学的に腫瘍は真皮上層の結合織性被膜により多数の小葉に分けられた病変で,病変中にはアルシャンブルー染色で陽性を示す淡青色の無定型物質が充満していた.腫瘍細胞は紡錘形または星芒状の核を有する細胞で,細胞間には相互を連絡するゆるやかに渦状に配列する網状物が認められた.免疫組織化学的に大多数の腫瘍細胞はS−100蛋自陽性を示し,また同蛋自のα鎖は強陽性を,β鎖は弱陽性を呈した.電顕的に腫瘍細胞は切れ込みのある核を有し,細胞質内には細線維が豊富で,ミトコンドリアや粗面小胞体,小空胞も認められ,細胞周囲には明瞭なbasal laminaが存在していた.本症例を粘液腫様の組織像を呈した神経線維腫と診断し,腫瘍細胞間の網状物がゆるやかに渦状に配列することがその最大の組織学的特徴であると考えられた.
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