Japanese
English
症例報告
非典型的な臨床像を呈した血管肉腫の1例
A case of angiosarcoma with atypical clinical presentation
桑原 彩乃
1
,
吉田 憲司
1
,
當麻 秀信
1
,
栗田 昴幸
1
,
石井 健
1
,
四宮 茂
2
,
並川 健二郎
3
,
石河 晃
1
Ayano KUWAHARA
1
,
Kenji YOSHIDA
1
,
Hidenobu TOMA
1
,
Takayuki KURITA
1
,
Ken ISHII
1
,
Shigeru SHINOMIYA
2
,
Kenjiro NAMIKAWA
3
,
Akira ISHIKO
1
1東邦大学医学部皮膚科学講座(大森)
2しのみや皮膚科形成外科
3国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科
1Department of Dermatology(Omori), School of Medicine, Toho University, Tokyo, Japan
2Shinomiya Skin Surgery, Tokyo, Japan
3Division of Dermatologic Oncology, National Cancer Center Hospital, Tokyo, Japan
キーワード:
血管肉腫
,
リンパ管肉腫
,
D2-40
,
浮腫
Keyword:
血管肉腫
,
リンパ管肉腫
,
D2-40
,
浮腫
pp.881-885
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207118
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要約 72歳,女性.初診6か月前から頭部全体の凹凸と脱毛斑を自覚.初診1か月前から前額部の紅斑と浮腫が出現し,近医皮膚科より紹介受診となった.初診時前額部に6×3 cm大の強い浮腫性紅斑があり,押すとpitting edema様に圧痕を残して陥凹した.また頭頂部に皮膚硬化を伴う紅色局面が複数みられ,一部脱毛を伴う部位もあった.前額部と脱毛斑から皮膚生検を行い,いずれも異型内皮細胞で縁取られる不規則な脈管腔が多数みられ,真皮内には紡錘形の細胞が流れるように密に増生していた.免疫染色でD2-40とFactor Ⅷが陽性であり,血管肉腫と診断した.自験例は強い圧痕性浮腫を伴う紅斑が主病変であり臨床診断は困難であった.紫斑や結節を伴わない血管肉腫も存在しうることを念頭に置き,診断や治療介入が遅れてしまわないよう注意したい.また自験例のような特異な臨床像はリンパ管分化によると考えると理解しやすいが,推論の域を出ない.今後分子遺伝学的手法によって非典型的な臨床像が説明されるようになることを期待したい.
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