Japanese
English
原著
皮膚軟骨腫の1例
A Case of Chondroma Cutis
武田 康子
1,2
,
滝野 長平
1
,
勝俣 道夫
2
Yasuko TAKEDA
1,2
,
Chohei TAKINO
1
,
Michio KATSUMATA
2
1九段坂病院皮膚科
2東京医科歯科大学医学部皮膚科教室
1Division of Dermatology, Kudanzaka Hospital
2Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.173-177
発行日 1988年2月1日
Published Date 1988/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203844
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56歳,女の右鼻部に生じた皮膚軟骨腫の1例を報告した.腫瘍は淡紅色,3×3×4mm大,有茎性,自覚症のない弾性硬に触れる結節で,また組織学的には表皮直下より真皮下層に位置する腫瘍塊で,構成細胞の核は小型で楕円形を呈し,胞体は淡明化しており,これが淡く好酸性に染まる豊富な間質内に散在してみられた.悪性像・分裂像はみられず,周囲の炎症反応も殆ど認められなかった.特殊染色の成績から間質内物質はコンドロイチン硫酸を主とする酸性ムコ多糖類と考えられ,また腫瘍細胞はS−100蛋白の存在ならびに電顕所見から軟骨細胞に相当するものと考えられた.さらに腫瘍内に弾力線維が認められなかったことから,本例は硝子軟骨から構成されたものと考えた.文献上,本例の発生部位,形状ならびに硝子軟骨からのみ構成されることは稀である.
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