Japanese
English
原著
直腸癌を合併したProgressive Systemic Sclerosisの1例
A Case of Progressive Systemic Sclerosis Associated with Rectal Carcinoma
嘉月 博
1
,
工藤 昌一郎
1
,
前川 嘉洋
1
Hiroshi KATSUKI
1
,
Shoichiro KUDO
1
,
Yoshihiro MAEKAWA
1
1熊本大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Kumamoto University Medical School
pp.303-306
発行日 1985年4月1日
Published Date 1985/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203229
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46歳,女性.初診2年前,手足のレイノー症状.顔面・四肢の浮腫性硬化が出現した.1年前より軟便.4カ月前より血便に気づいた.3カ月前より全身の皮膚硬化が出現,当科に入院後,全身性進行性強皮症(PSS)と診断され,精査により直腸癌(腺癌)が見出された.肝右葉に転移巣が認められたが,本院外科にて直腸切断術と肝動脈チュービングを施行した.術後も皮膚硬化は持続し,むしろ萎縮傾向を呈した.
PSSと悪性腫瘍の合併率の欧米での報告は3〜5%であるが,1971年以降の本邦例は自験例を含め10例で,肺癌6例,消化器癌5例(重複例2例),肝癌1例で,肺と消化器系に偏っているうえ,2例に重複が認められたのは興味あることと思われる.PSSの中のある患者においては発癌機序に対する抵抗力の著明な減弱,腫瘍免疫能の低下が存在することを示唆する症例と考えられる.
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