Japanese
English
原著
汗腺におけるS−100蛋白の超微形態学的局在
Ultrastructural Localization of S-100 Protein in Human Sweat Glands
広瀬 隆則
1
,
玉田 伸二
1
,
檜沢 一夫
1
Takanori HIROSE
1
,
Shinji TAMADA
1
,
Kazuo HIZAWA
1
1徳島大学医学部第一病理学教室
1First Department of Pathology, School of Medicine, The University of Tokushima
pp.877-881
発行日 1984年9月1日
Published Date 1984/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203120
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
最近,末梢神経系腫瘍,悪性黒色腫などの腫瘍マーカーとして注目されているS—100蛋白の人汗腺における局在を光顕的にperoxidase-antiperoxidase法を用いて,また電顕的に免疫電顕間接法を用いて検討した.エックリン汗腺においてS−100蛋白は基底細胞と筋上皮細胞の細胞質基質と核に存在し,表層細胞ではほとんど認められなかった.アポクリン汗腺では,その分泌細胞には局在せず,筋上皮細胞に認められるだけであった.両汗腺とも,その導管部には存在していなかった.すなわち正常汗腺でS−100蛋白は筋上皮細胞とエックリン汗腺基底細胞だけに局在した.この結果をふまえ,S−100蛋白を汗腺系腫瘍に対するひとつのマーカーとして用いれば,腫瘍細胞の分化の方向が推測でき,組織診断また組織発生研究の一助になるものと考えられる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.