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特集 ライソゾーム
リポフスチンの超微形態
The ultrastructure of lipofuscin
宮岸 勉
1
Tsutomu Miyagishi
1
1旭川医科大学医学部精神医学講座
pp.225-229
発行日 1995年6月15日
Published Date 1995/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900912
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リポフスチンは,ヒトや動物の神経細胞では加齢と共にほぼ直線的に増加することが知られており(図1)1),神経細胞における老化の指標の一つと考えられる。したがって,リポフスチン蓄積促進動物は神経細胞の老化促進動物と見なすことができるが,リポフスチンが個々の神経細胞や個体の精神機能にどのような影響を与えているかということについては,まだほとんど解明されておらず,その意味でリポフスチンは依然として「puzzling pigment」である。
中枢神経組織の老化過程に関する基礎的研究にとってリポフスチンはきわめて興味深い対象であるばかりではなく,臨床的観点からしても,リポフスチン形成とその蓄積を確実に抑制することが可能な薬剤(lipopigment-reducing drugs)が見いだされ,かつ,その薬剤によって記憶機能が改善されることが確認されるならば,早期痴呆に対する治療薬の一つになり得るかもしれない2)。
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