Japanese
English
原著
真皮型若年性黒色腫の1例
A Case of Dermal Type of Juvenile Melanoma
玉田 伸二
1
,
佐野 寿昭
1
,
檜澤 一夫
1
,
法村 晢史
2
,
荒瀬 誠治
2
Shinji TAMADA
1
,
Toshiaki SANO
1
,
Kazuo HIZAWA
1
,
Sekishi NORIMURA
2
,
Seiji ARASE
2
1徳島大学医学部第一病理学教室
2徳島大学医学部皮膚科教室
1First Department of Pathology, School of Medicine, Tokushima University
2Department of Dermatology, School of Medicine, Tokushima University
pp.669-672
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412203083
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18歳,女性.生下時より全身にcafé au lait spot,2年前より全頭脱毛あり.昭和58年6月頃より,左下腿内側に小指頭大の赤色腫瘤出現.現症:左下腿下部内側に境界明瞭な直径約1cm大,暗赤色,表面疣状の腫瘤を認めた.自覚症状無し.病理組織学的所見:病変は真皮内に限局し被覆表皮は過角化と萎縮を示す.増殖は紡錘形細胞と,多核巨細胞を含む大型の類上皮細胞より成るが,いずれにもメラニン顆粒は認められない.紡錘形細胞は腫瘤の大部分を占め,皮面に対して垂直に配列し,所によっては腫瘍細胞はまばらで,線維化,著しい小血管増生,びまん性リンパ球浸潤を示した.類上皮細胞は真皮上層で2,3の胞巣を形成している.PAP法で腫瘍細胞は,S−100蛋白強陽性であったが,リゾチーム,第Ⅷ因子関連抗原は陰性であった.以上の所見より,真皮型若年性黒色腫と診断した.真皮型若年性黒色腫には,いわゆる境界部活性を欠き,増殖細胞内にメラニン顆粒が認められないことが多く,炎症性肉芽組織や若年性黄色肉芽腫,血管拡張性肉芽腫,硬化性血管腫等の間葉系良性腫瘍と紛らわしい組織像を示すことがある.
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