Japanese
English
原著
抗核抗体を認めた尋常性天疱瘡の2例
Two Cases of Pemphigus Vulgaris with Anti-nuclear-antibody
橋本 隆
1
,
杉浦 丹
1
,
栗原 誠一
1
,
西川 武二
1
,
籏野 倫
1
,
原田 敬之
2
Takashi HASHIMOTO
1
,
Makoto SUGIURA
1
,
Seiichi KURIHARA
1
,
Takeji NISHIKAWA
1
,
Hitoshi HATANO
1
,
Takashi HARADA
2
1慶応義塾大学医学部皮膚科教室
2立川共済病院皮膚科
1Department of Dermatology, Keio University School of Medicine
2Division of Dermatology, Tachikawa Kyosai Hospital
pp.15-20
発行日 1981年1月1日
Published Date 1981/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202352
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症例1は75歳,男.約4ヵ月前より躯幹を中心に水疱およびびらん出現.症例2は77歳,男.約1ヵ月前より躯幹に水疱,びらん出現.2例とも組織学的に表皮下層に棘融解性水症疱を認め,螢光抗体直接法で表皮細胞間にIgGとC3の沈着を認め尋常性天疱瘡と診断したが,血清中には抗核抗体のみ陽性で表皮細胞間物質抗体は見出せなかった.2例ともSLEとの合併を思わせる臨床症状はなく,抗核抗体の性状も1例目は抗ENA抗体に属すると考えられ,2例目は抗DNA抗体を含むものと考えられ共通性は認められなかった.
患者血清をモルモット肝粉末で吸収すると抗核抗体の減弱とともに抗表皮細胞間物質抗体が顕性化したこと,患者血清で正常ヒト皮膚を培養すると表皮細胞間にIgGの沈着が認められたことより,抗表皮細胞間物質抗体偽陰性と考えた.そしてその原因として抗核抗体の存在が表皮細胞間物質抗体の検出を何らかの形で防害している可能性があると考えた.
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