講座
SLE (IV)—V.SLEの血管病変(1)
大橋 勝
1
Masaru OHASHI
1
1名古屋大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Nagoya University School of Medicine
pp.68-72
発行日 1980年1月1日
Published Date 1980/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202173
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SLEにみられる皮膚病変は紅斑であり,この皮疹は抗原抗体複合物(immune complex)によって生ずる皮膚の血管炎の結果であると一般的には考えられている.この考えに従えば,皮膚の血管でどのような病変が生じているかを知ることは,SLEでみられる血管障害に基づく多臓器障害を理解するためには必要であり,また皮膚科医がSLEの病態へアプローチする1つの方法と考えられる.多くの動物実験でのimmunc complexによる腎病変はSLEの腎障害との類似な病変が認められているが,皮膚病変を動物に作ることは困難である.したがって,皮膚病変を理解するためには人の正常皮膚の末梢血管系,特に微小循環系の正常な状態を知ることがまず必要であり,SLEの病変の解釈はこの上に立って行われる必要があると考えられる.これに加えて観察可能な他臓器での微小循環系の障害もまた参考となるであろう.ここでは光顕レベルの血管変化について述べ,次剛に電顕レベルでの血管病変を述べる.
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