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SLEの皮膚症状は,浮腫性紅斑,ディスコイド斑,水疱,紫斑,潰瘍と多様である.しかし,これらの皮疹のうち,SLEに特徴的であって診断的な価値のある発疹は①顔面の蝶型紅斑,②身体のいたるところで認められるディスコイド斑,③光線過敏,④脱毛,⑤爪郭部紅斑,⑥レイノー現象である.これらの発疹の頻度は報告者により異なっている.SLE 21例について筆者の調べた結果では,蝶型紅斑95%,ディスコイド斑81%,光線過敏症67%,脱毛43%(表1)である.
蝶型紅斑はSLEに特徴的ではあるが,特異的ではない.また蝶型紅斑の定義も記載皮膚科学的な厳密さはなく,頬骨隆起部から鼻橋にかけてのびまん性で扁平あるいは隆起性の紅斑で,境界は明瞭であっても不明瞭でもよい.図1はSLEの蝶型紅斑である.矢印は下口唇によく見られる紅斑とビランを示してある.図2はSLEのディスコイド斑であるが,その初期像(矢印)では紅斑面のみで蝶型紅斑となる.図3は多形日光皮膚炎で蝶型紅斑を示し,矢印のごとく上眼瞼の浮腫性紅斑を伴っている.図4〜6は皮膚筋炎でこれも蝶型紅斑を示している.皮膚筋炎に特徴的といわれる上眼瞼のヘリオトロープの紫紅色斑は図4でよくみられる.この例は胃癌を合併していた.癌を合併した皮膚筋炎の浮腫性紅斑は強度であり,malignant erythemaとも呼ばれている.図5は小児の皮膚筋炎で,矢印は上眼瞼の浮腫性紅斑を示す.図6は皮膚筋炎であるが,元来色黒のため,矢印で示した浮腫性紅斑もヘリオトロープ調ではない.蝶型紅斑では上記のごとく,SLE以外でも,DLE,多形日光皮膚炎,皮膚筋炎があげられ,鑑別が必要とされる.このほかに症例は少ないがペラグラ,Senear-Usher症候群,ブルーム症候群があげられる.
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