Japanese
English
原著
リール黒皮症の電顕的研究—特にdegeneration cellの存在と組織学的色素失調との関連について
An Electron Microscopical Study of Melanosis Riehl
舛 真一
1
,
佐藤 昭彦
1
,
清寺 真
1
Shinichi MASU
1
,
Akihiko SATO
1
,
Makoto SEIJI
1
1東北大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tohoku University School of Medicine
pp.347-353
発行日 1978年5月1日
Published Date 1978/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201886
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要約 典型的なリール黒皮症の患者2例につき,特に基底層や有棘層の一部および真皮上層に認めたdegeneration cell(body)に着目し,その電顕的観察を行った.その初期のものは,細胞質は比較的高電子密度のトノフィラメントの大きな凝集により占められ,更に核残渣や空胞およびメラノソームなどを混じたもので,更に進んだ段階と思われるものは,核残渣や他の細胞内小器官が全く消失してしまい,緩く結合した比較的低電子密度の線維塊となると推測された.これらは,基底層や基底層直下の真皮内に多く散見され,マクロファージに嗿食されているもの,細胞突起によりとり囲まれているもの,あるいは間質中に遊離状態で存在するもの等が認められた.メラノソームは,初期のdegeneration cellでは細胞内に認められたが,それより進んだ段階では近接するマクロファージ中に認められ,表皮細胞間および真皮の間質中に遊離状態で存在するメラノソームはほとんど認められず,またメラノサイトからマクロファージへの直接的なメラノソームの移行を疑わせる所見も認め得なかった.以上のことより,リール黒皮症における組織学的色素失調は,先ずメラノソームを含むケラチノサイト(特に基底細胞)にトノフィラメントの凝集を基調とした変性がおこり,次いで表皮へ遊走してきたマクロファージによる喰食の結果起こるものと推測される.
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