原著
Incontinentia Pigmenti(Bloch-sulzberger)
濱田 稔夫
1
,
石井 正光
1
Toshio HAMADA
1
,
Masamitsu ISHII
1
1大阪市立大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Osaka City University Medical School
pp.489-495
発行日 1977年6月1日
Published Date 1977/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201754
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Incontinentia pigmenti(Bloch-Sulzberger)の母娘例(30歳および1歳8カ月)および別家系の女児例(11カ月)の3症例を報告した.娘例(症例1および3)はともに生下時,すでに小水疱などの皮疹が出現しており,生後1カ月目では躯幹部,四肢に列序性ないし網目状の褐色色素沈着と,特に下肢では所々に小水疱が集族して痂皮を附着した局面がみられ,それらの組織所見では表皮内水疱と好酸球浸潤が主で,基底層の液状変性,真皮内のmelanophageもすでに認められた.生後各5カ月目,3カ月目頃より下肢の先の皮疹部にほぼ一致して暗赤色扁平苔癬様局が列序性に出現し,組織像は過角化,有棘層肥厚,乳頭腫様増殖とともに有棘層上層より顆粒層内に渦巻様を呈した角質様物質が連続性ないし集族性に存在するが,表皮内汗管との関係は認められなかつた.症例2の母親例では左腋窩部,左鼠径部に褐色色素斑が僅か残存する程度で,組織像はincontinentia pigmentiを示し,現在は色素沈着消腿期に相当する.併せて本症の成因,遺伝関係についても考察を加えた.
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