〈原著論文抄録〉
Incontinentia pigmenti知見補遺,他
伊藤 実
1
,
玉井 定美
2
1青森県立中央病院
2弘前大学医学部皮膚科教室
pp.437,439
発行日 1969年4月1日
Published Date 1969/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200494
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Bloch-SulzbergerのIncontinentia pigmentiの典型に対し,私は成年期まで色素斑の稽称するもの(I. P. Continua)を経験し,またネガ像ともいうべきI. P. achromiansを発見した。さらに最近少年期以後に発症する1亜型(I. P. tarda)を観察し,かつLichen striatusなる病変の経過においてI. P. と酷似する色素斑を招来し,やがて消退することを認めた。これらは恐らくMelano-labilなわれわれ黄色人種の皮膚に好発かつ指摘され易いのであろうと推察される。
その色素斑の特徴たる漆喰ばね様型態即ち対外凹彎に就き組織学的に再吟味し,光学顕微鏡でメラニン顆粒は真皮内に遊離的に散在するものが尠く,概ね真皮表層の毛細血管を囲繞する組織球に貪喰された浅在性のmelanophageであることを認識した。これを電子顕微鏡で追求すると乳頭層の組織球がpseudopodialな突起を表皮基底層直下に派生してメラニン顆粒をactiveに貪喰せるものと想察される所見がよく指摘された。すなわちこの両種の顕微鏡検査より,I. P. は血管運動末梢に職由する先天的あるいは後天的の特殊な病変が基底層に影響し,組織球が動員されて発現するものと推察される。
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