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第76回日本皮膚科学会総会および学術大会は,昭和52年4月8日から3日間にわたり,慶応義塾大学籏野倫教授を会頭として,すでに桜も散つた東京都新宿区,京王プラザホテルにおいて盛大に開催された.
今回のように同一建物のなかで大会がすべて運営されると,各会場への移動が極めて容易となり,参加会員にとつて何かと好都合であった.大会は,主として3会場にわかれて同時進行されたが,各会場は良く装備されており,加えて音響効果が良かつたので,広い会場の隅々まで演者の声がよく通つた,と一般に好評であつた.籏野会頭の斬新な御意図は本大会の運営上随所に生かされていた.学術大会は学問の場であると同時に親睦の場でもある,とのお考えから,昼の休憩時間が充分にとつてあつたことは,会員相互間の交流に役立つたものと思う.また,若手会員が気楽に話し合える場をもつという目的から,Luncheon discus—sionが企画実行された.これは,定められた講師と昼食を共にしながら自由に話合うもので,その話題としては,接触皮膚炎と抗体(谷奥喜平),深在性真菌症(福代良一),皮膚腫瘍の治療,外科,理学療法(池田重雄),蕁麻疹の治療(三浦修),皮膚腫瘍の治療,免疫,化学療法(石原和之),および光と皮膚(小堀辰治)など,興味深いテーマばかりで,おのおの斯界の第一人者が講師を担当しておられた.今後ともこのような試みが広く普及することが望まれる.本大会最大のトピックは,臨床病理カンファレンスが開催されたことである.CPC標本供覧室内には,呈示全20症例の組織標本と顕微鏡とがそれぞれ設置されてあり,また全症例の臨床像,組織像,およびコメントは一冊の印刷物としてすでにまとめてあり,さらにCPC (司会Graham,J.H.,三木吉治,セクレタリー 中村絹代)会場では,カラースライドによる投影および討論がおこなわれるなど,極めて懇切丁寧かつ有意義なものであつた.本大会においては,医学教育に関する問題もとりあげられた.すなわち,交見演題として,医学教育と皮膚科(司会牛場大蔵,安田利顕)というテーマの下に,医学教育カリキュラム改善に関する諸問題が論議されたが,本会場には聴衆も多く,有益な演題であつた.また,稀有例や典型的の再呈示という目的の下に開催された教育示説(司会福代良一,野北通夫)は,これら疾患を再認識させた点で好評であつた.招請講演
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