Japanese
English
原著
皮膚に原発した多発性髄外形質細胞腫
PRIMARY MULTIPLE EXTRAMEDULLARY PLASMACYTOMA OF THE SKIN
川津 智是
1
Tomoyuki KAWATSU
1
1大阪大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, University of OSAKA, School of Medicine.
pp.595-602
発行日 1973年7月1日
Published Date 1973/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201172
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60歳,女性,既往歴で左股関節炎,及び左大腿骨を中心とする慢性骨髄炎に罹患.昭和46年6月頃より左下腿部,大腿部,臀部に赤紫色の硬結が生じ,8月に初診.
生検の結果,真皮全層から皮下脂肪層に亘る密な,異型性の強い形質細胞を認めた.
更に,血清中にはIgG-L型の骨髄腫蛋白を認め,γ-グロブリン43.6%,血清IgG 3100mg/dlと増加し,IgA,IgMの減少を認めた.
しかし,再三に亘る骨髄穿刺や骨X線像では骨髄腫は発見されなかつた.
副腎皮質ホルモン,およびcyclophosphamideの使用,続いて,放射線療法に腫瘍はよく反応し,臨床検査成績の改善もみられた.
患者は昭和48年1月現在,健在であり,その間,左下肢以外に左外眼角部の皮膚,および右眼底(疑診)に腫瘍の発生をみたが,骨髄を含む他の臓器には病変をみていない.
これまでに報告されている皮膚の形質細胞腫の症例中,本症例のように,骨髄腫を合併しない皮膚の多発性形質細胞腫は極めて稀である.
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