一頁講座
ハイドロキシウレア(Hydroxyurea)
松尾 聿朗
pp.340
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201135
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ハイドロキシウレア(以下「HU」と略)は1869年にすでに合成され,CH4N2O2の構造を有し,1960年になり本剤に抗腫瘍作用のあることか報告されて以来にわかに注目されるところとなつた.以来「HU」はRNAおよび蛋白質の合成を阻害せず,選択的にDNAの合成を阻害する代謝阻害物質の一つとして各種の悪性腫瘍,皮膚科領域においては難治性の乾癬に試みられるようになつた.
Ariel1)は手術不可能となつた各種悪性腫瘍の患者118例に「HU」50mg/kg/体重を1日2回に分けて連日内服させ,腫瘍の大きさが25%以上縮少したものを有効とした場合悪性黒色腫,結腸・直腸・肛門癌(特に肝臓に転移を認めるもの),頭頸部の癌,リンパ腫および原発性肝癌に著効例の多いことを報告している.悪性黒色腫では19例中11例に自覚症の改善と共に腫瘍の縮少を認め,改善状態は平均して約3週間認められたという.国際メラノーマ研究グループのセミナー(1970)においてCarterは悪性黒色腫に各種制癌剤を使用して,「HU」用いた232例中57例(24%)に有効で,これはimidazole carboxamideの424例中87例(20%)有効とともに最も効果が著しいとした2).
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