一頁講座
皮膚生検について
佐藤 良夫
pp.312
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412201130
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皮膚の生検は,皮膚疾患の組織学的診断上きわめて重要であることは周知のとおりである.生検は目的とする検索に一度で十分なだけ,しかしなるべく局所障害は小さく止めて材料を採取し,患者の苦痛を最小とし,将来の瘢痕を考慮しながら,かつ病変の増悪をきたしめないことを原則とすべきである.しかしそういうことを気にする余り,材料が小さすぎたり,浅すぎたりして,折角の生検が価値のないものになつてしまうこともあるので,"必要にして十分なだけ"採取することを心がける必要がある.
"必要にして十分なだけ"の材料というのは,簡単のようであるが案外むつかしいこともある.それにはまず代表的病変の代表的時期の皮疹を選ぶことが大切である.またそれと周囲の正常皮膚との関係を明らかにするために,一部正常組織を含めて採取すること,および皮下脂肪の病変でなくても皮下脂肪織の一部まで含むよう深く採取することが望ましい.さらに割を加える場合に,皮膚表面に垂直の割を加えるべきで,斜めや切線的な割では封埋のときよほど工夫しないと良い標本が得られない.もちろん病像や時期の異なつた部分,別々に生検する必要がある.
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