Japanese
English
原著
東北地方北部においてMicrosporum canisを分離した皮膚白癬の2例
TINEA DUE TO MICROSPORUM CANIS IN THE NORTHERN PART OF THE HONSHU
福士 堯
1
Gyo FUKUSHI
1
1青森県立中央病院皮膚科
1Department of Dermatology, Aomori Prefectural Central Hospital
pp.453-457
発行日 1970年5月1日
Published Date 1970/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200656
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はじめに
Microsporum (以下「M.」) canisを起因菌とする皮膚白癬が,本邦の文献にはじめて登場したのは,1929年で,殷1)が米国帰りの子供の病巣から分離した菌株をM.lanosumとして発表したものである。しかし,本邦在住の患者からの分離は,1934年に,高橋(信)2)が,札幌において,小水庖性白癬を有する患者からM.Sapporenseとして得たものが,事実上の最初の例とされている。これらの菌は後にM.canisと同じものとされた3)。
本菌はその後も,主に北海道,樺太において分離されていた。上記以外の地域で本菌が分離されたのは,1952年に香川4)が,東京で得たのがはじめてである。その後も堀江5),柳沢ら6),垣内ら7)がそれぞれ東京において,本菌を得ている。しかし,上記の3地域以外からは未だ本菌に由来する皮膚白癬の報告はなされていない。
Tinea due to M. canis have been reported in Hokkaido, Saghalien and Tokyo district. This report of a case of Kerion Celsi in a 6-year-old girl and trichophytia maculovesiculosa in a 32-year-old female farmer proved that M. canis infections could exist also in the northern part of the main island of Japan.
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