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綜説
Griseofulvinについて
ON GRISEOFULVIN
横田 一郎
1
Ichiro YOKOTA
1
1北海道大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Hokkaido University, Faculty of Medicine
pp.683-692
発行日 1969年7月1日
Published Date 1969/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412200525
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I.はじめに
Griseofulvin (以下Gと略)の発見は抗生物質中penicillinに次いで古く約30年前,すなわち1939年Oxfordら1)によってpenicillium grise-ofulvum dierckxの代謝産物として分離されていたが,その抗真菌作用に注目されたのはさらに遅れ,1946Brianら2)がpenicillium janczew-skiiの代謝産物に2,3の真菌の菌糸を巻き毛状にする作用,いわゆるcurling factorの存在を観察し,翌1947年Grove & Mc Gowan3)によつてこの両物質が化学的に同一であることが証明されてからである。その後同じ物質がpenicilliumnigricans, penicillium urticae, penicilliumraistrickiiなど同じpenicillium属から次々と発見された。
このようにGの発見は古く,またその抗真菌作用もかなり以前から知られていたが,Gが水に極めて難溶性であることから内服治療剤としての効果は期待されぬとされ,実際に真菌症に治療薬として使用されたのは10年ほど前からである。すなわち1958年Gentles4)はモルモットの実験的白癬にGの内服が有効であつたことを報告し,続いてRiehl5),Williamsら6)が人間の白癖にGを内服使用し著効を呈したことを相次いで報告するにおよんで,その後数多くの基礎的あるいは臨床的研究が発表されるようになつた。
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