Japanese
English
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Griseofulvinによる皮膚白癬症の治験
TREATMENT OF RINGWORM-SKINDISEASES WITH GRISEOFULVIN.
田村 峯雄
1
,
山口 武津雄
1
Mineo TAMURA
1
,
Mutsuo YAMAGUCHI
1
1大阪市立大学医学部皮膚泌尿器科教室
1Department of Dermato-Urology, Osaka City University Medical School
pp.73-77
発行日 1961年1月1日
Published Date 1961/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202980
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I.緒言
白癬症は,数多い皮膚疾患のうち,最も頑固なものの一つであり,往々種々の皮膚科的処置に抵抗し,且一時的に軽快しても再発を繰返えして,我々を悩ませている。
即ち,浅在性白癬では,通常菌は表皮基底層を越えて真皮内に侵入する事はなく,多くは極く表在性の角質内に寄生するといわれている。古くから白癬の治療法として,菌が存在する角質層を剥離せしめ,同時に菌に対して殺菌的或は静菌的に作用する薬剤を配合した種々の軟膏,溶液が用いられて来たが,それにもかかわらず,所期の目的を達し得ないのは,かかる抗白癬剤が,菌に作用するに十分な濃度で角質内に侵入し得ない為であると思われる。理想的な抗白癬剤は角質を産生する細胞に,真菌に対する抵抗力を与え,静菌作用を有する状態で角質に達し,抗菌作用を発揮する薬剤である1)といい得る。しかるに,ここにGriseofulvinなる物質が出現し,殆どその目的を達し得る事になつたのである。
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