Hair Nikolsky現象を認めた粘膜皮膚型尋常性天疱瘡の1例

Mucocutaneous pemphigus vulgaris with hair Nikolsky phenomenon

50歳，男性。口腔内びらん，頭部の痂皮を伴う紅斑，びらんを生じた。皮膚生検で表皮基底層直上に棘融解を認め，血液検査では抗デスモグレイン1，3抗体が高値であり，粘膜皮膚型尋常性天疱瘡と診断した。頭部の病変部および周囲の毛髪は，軽く引っ張ることにより容易に脱落し，hair Nikolsky現象陽性と考えられた。プレドニゾロン80mg/日点滴静注で治療を開始したが難治であり，病勢のコントロールにはシクロスポリン内服の併用と血漿交換療法，免疫グロブリン大量静注療法を要した。Hair Nikolsky現象は尋常性天疱瘡の病勢の評価や重症度と相関すると考えられるため，本症の診療においては抜毛テストを積極的に行うべきである。