講座
母乳榮養法
内藤 壽七郞
1
1日赤中央病院小児科
pp.8-10
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200118
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緒言
人工栄養が最近非常に進歩したので,其の死亡率に於て両者は以前程の差はなくなつて来た。併し又人工栄養兒はもとより母乳栄養に比して病気にかかる率は多い。従つてそれだけ発育にもよくない影響があるととは覗える。牛乳やミルク山羊乳に比べ母乳の持つ成分的な優れ,例えば,脂肪,或はビタミンCが多いとか,又は色々と病気に対する抗体が含まれていると云う様な点,或は手間がかからぬこと,又経済的の方面から見ても,又夏は冷蔵庫もいらず,そして細菌に犯される心配もない(尤も乳腺炎の時は別であるが)斯様に有難ずくめの母乳栄養であつて見れば,別に何も心配いらない筈のものである。実事のところ,母乳の分泌が甚だ良好であり,且つ乳兒が其を充分よくのむと云う之の二つの条件が揃えば,生後3〜4,5カ月迄は何の心配もいらないでよく発育して来る,之の二つの条件が却々充たされないところに問題がある。
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