Japanese
English
症例報告
サルベージ療法を要した難治性Langerhans細胞組織球症の1例
A case of refractory Langerhans cell histiocytosis treated with salvage therapy
大川 たをり
1
,
白井 洋彦
1
,
山村 弟一
1
Taori OKAWA
1
,
Hirohiko SHIRAI
1
,
Teiichi YAMAMURA
1
1市立堺病院皮膚科
1Division of Dermatology, Sakai Municipal Hospital, Sakai, Japan
キーワード:
Langerhans細胞組織球症
,
化学療法
,
クラドリビン
,
シタラビン大量療法
Keyword:
Langerhans細胞組織球症
,
化学療法
,
クラドリビン
,
シタラビン大量療法
pp.723-727
発行日 2013年8月1日
Published Date 2013/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103747
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要約 1歳4か月,男児.生後6か月頃より頭部に痂皮を伴う皮疹を認め,消退と再発を繰り返していた.1歳から皮疹が増悪し,同時期に左側頭部と右頰部に皮下腫瘤を認めた.初診時,頭部に脂漏性湿疹様皮疹を,背部に痂皮を伴う淡紅色丘疹を認めた.画像精査で頭部と顔面骨に骨破壊を伴う腫瘍像があり,骨シンチでは肋骨にも99mTc-HMDPが集積した.頭部と背部の皮疹の生検で,S100蛋白,CD1a陽性の組織球様細胞が浸潤していた.以上より多臓器多発型Langerhans細胞組織球症と診断した.寛解導入目的でビンクリスチン(0.05mg/kg/日)+シタラビン(100mg/m2/日)+プレドニゾロン(0.5~2mg/kg/日)の多剤併用化学療法を施行したが反応に乏しく,サルベージ療法としてクラドリビン(5mg/m2/日)を単剤投与し,骨破壊病変は縮小した.しかし皮疹や血中s-IL2-R値は改善せず,シタラビン大量療法(500mg/m2×2回/日)を追加して徐々に皮疹の消退とs-IL2-Rの低下が得られた.2歳未満のLCHは悪性度が高く進行の速い例もあり,早期診断が求められる.乳幼児で難治性の脂漏性皮膚炎様皮疹を診た場合には本症を念頭に置く必要がある.
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