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私は筆記試験を受けずに皮膚科専門医を取得できた最後の世代で,「取りあえず」のりで取得できた専門医ですが,試験制度ができてからは試験勉強,受験資格獲得に努力が必要になり,専門医取得は皮膚科を研鑽する者にとって1つの目標となりました.2017年からは第三者機関による新専門医制度が発足します.学会ではなく第三者機関が専門医を評価,認定することにより質の担保,認定基準の標準化を図ることが目指されています.各研修施設が策定したプログラムに則り研修を行い,専攻医のみならず,プログラムや研修施設も第三者機関の評価対象となります.一度取得した専門医についても更新条件が厳しくなることが予想され,非常勤の医師で勤務時間が短い場合,専門医が更新できなくなる可能性があります.制度改革により,国全体で各診療科の専門医養成数が規定されることになり,科による医師の偏在,地域による偏在を解消する1つの方策となります.皮膚科専門医の質の向上に,希望的には地位の向上にもつながるメリットがありますが,水虫やかぶれなどの診療を「総合診療医」の手に譲り渡すことにもなりかねません.Common diseaseからlife-threatening diseaseまで,標準的な診療ができる皮膚科専門医を必要な数育成してゆくため,制度を熟慮してゆく必要があります.
専門医が第三者機関により権威付けされ,資格の重みが増すことは疑う余地がありません.しかし,専門医取得は医師にとって通過点でありゴールではありません.「まずは」専門医資格を持った上で,しっかりした診療を提供することこそ重要で,皮膚科専門医の真価が問われます.これから専門医を取得しようとする者にとって本誌が登竜門となることを,また既取得者にとって専門医にふさわしい診療をするための一助となることを願っています.そのため,投稿論文には査読者からかなり細かい,時には厳しいコメントがつきますが,このような願いが込められていることをご理解下さい.「論文責任者」となられる先生にも日本の皮膚科の未来のために,ぜひ,ご指導をお願い致します.多数の投稿をお待ちしています.
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