Japanese
English
症例報告
粒子線照射後に生じた難治性胸壁潰瘍の1例
A case of refractory chest ulcer after particle beam irradiation
中野 英司
1
,
西川 里香
1
,
廣本 敦子
1
,
皿山 泰子
1
,
脇田 昇
2
,
寺師 浩人
3
Eiji NAKANO
1
,
Rika NISHIKAWA
1
,
Atsuko HIROMOTO
1
,
Yasuko SARAYAMA
1
,
Noboru WAKITA
2
,
Hiroto TERASHI
3
1神戸労災病院皮膚科
2神戸労災病院心臓血管外科
3神戸大学大学院医学研究科形成外科学
1Division of Dermatology, Kobe Rosai Hospital, Kobe, Japan
2Division of Cardiovascular Surgery, Kobe Rosai Hospital, Kobe, Japan
3Department of Plastic Surgery, Kobe University Graduate School of Medicine, Kobe, Japan
キーワード:
粒子線治療
,
粒子線皮膚潰瘍
,
胸壁欠損
,
硬組織再建
,
広背筋皮弁
Keyword:
粒子線治療
,
粒子線皮膚潰瘍
,
胸壁欠損
,
硬組織再建
,
広背筋皮弁
pp.69-74
発行日 2013年1月1日
Published Date 2013/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103519
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 77歳,男性.肝細胞癌に対し陽子線治療を受け,2年2か月後に右側胸部に有痛性の潰瘍を生じた.保存的加療では改善せず,MRIでは肋骨直上まで炎症を認め,感染を起こしたため,胸壁再建を行った.深部組織の変性が著明であったが,胸壁全層切除と陽子線照射範囲外からの筋皮弁にて再建し治癒が得られた.悪性腫瘍に対する粒子線治療は,従来の放射線治療に比べ有害反応が少なく抗腫瘍効果も高いため,近年注目されてきている.皮膚への有害反応の頻度は低いが,重症化することもあり,粒子線の性質上,深部組織の変性が強く,保存的治療では治癒が困難であると考えられる.原疾患は治癒しており生命予後が期待できる場合,保存的治療に反応の乏しい症例では積極的な外科的治療を考慮すべきであると思われた.
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.