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文献紹介 IgG4関連疾患におけるIgG4の役割
笠井 弘子
1
1慶應義塾大学医学部
pp.889
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103445
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IgG4関連疾患は近年本邦より発信された疾患概念であり,IgGのサブクラスの1つであるIgG4が中心的役割を担う.IgG4は非常に特徴的な構造を持ち,他の免疫グロブリンと異なり,H鎖間におけるヒンジ部分の共有結合がなく,CH3領域の非共有結合も弱い.そのため,H鎖間が容易に解離し,H鎖とL鎖の一対はFc領域を介して他の一対と再結合しキメラ分子を構成する‘half antibody exchange’という特殊な形をとる.他のIgGが2つのFab領域で抗原と結合するのに対し,IgG4では抗原はどちらか一方のFab領域としか結合できないため,IgG4の抗原結合部位は1か所のみとなる.
IgG4はIgEと同様に,Th2サイトカインにより産生を促進される.C1qとの結合が弱く,また,先述のように抗原との結合部位が1か所しかないこともあり,補体活性化作用がない.さらに,単球,好中球の膜上に存在するFcγRIIa,FcγRIIIbには結合しないため,細胞性免疫を十分に活性化させることができない.また,IgG1,IgEとも競合することが判明している.そのため,抗原刺激が補体活性,アレルギー反応を減弱させることから,アレルギー性疾患ではIgEを下げ炎症を抑える方向に働くといわれている.
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