--------------------
文献紹介 ペプチドグリカンによる関節炎モデルマウスにおいてNucleotide-Binding Oligomerization Domain 2(NOD2)とToll-like Receptor 2(TLR2)は独立して炎症に寄与する
中山 香織
1
1慶應義塾大学
pp.883
発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103444
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
関節炎,皮膚炎,ぶどう膜炎を三徴とする自己炎症性疾患であるBlau syndromeは,パターン認識受容体であるNOD2に遺伝子変異がある.NOD2は細菌壁成分であるペプチドグリカンの基本構造にあたるMDPを認識すると,NFκBを活性化し炎症を起こす.Crohn病でもNOD2に遺伝子変異を認め,大腸炎モデルマウスの実験ではMDPによるNOD2の活性化はTLRによる炎症反応に抑制的に働くことが示されている.
今回著者らはNOD-2の関節炎における作用,TLR-2とNOD-2の相互関係について調べている.PG,MDP,MDPの構造を持たないTLR-2アゴニストであるPam3CSK4の関節注射と,NOD2,TLR-2,TLRのアダプター分子であるMyD88それぞれのノックアウトマウスを用い研究が行われた.結果,PGによる関節炎では3種すべてのノックアウトマウスで炎症が起こらず,TLR2,NOD2とも炎症に重要な役割があることがわかった.一方,Pam3CSK4による関節炎ではNOD2のノックアウトマウスはコントロールと同程度の炎症を起こしたことから,MDP非存在下ではTLR2の炎症を抑制しないことが示唆された.逆に,MDPとTLR2,MyD88のノックアウトマウスを用いた実験でもコントロールと同様の炎症が起きたことからTLR2もNOD2に影響しないことも示唆された.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.