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文献紹介 天疱瘡患者血清中のデスモコリン3に対するIgG自己抗体はケラチノサイトの接着を喪失させる
松本 奈央子
1
1慶應義塾大学
pp.410
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103319
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天疱瘡は,デスモゾームを構成する分子であるデスモグレイン3(Dsg3)とデスモグレイン1(Dsg1)に対するIgG抗体によって生じる自己免疫疾患であり,抗Dsg3/Dsg1抗体の病原性はin vitroおよびin vivoで示されている.さらにDsg3遺伝子の欠損があるマウスでは粘膜に水疱が生じるが,別のデスモゾーム構成分子であるデスモコリン3(Dsc3)遺伝子が欠損したマウスでも同様の表現型が示される.
今回著者らは,非典型的な臨床像を呈した天疱瘡患者で検出された抗Dsc3抗体の病原性について調べた.最初に,患者血清からDsc3に対するIgG抗体をリコンビナントDsc3蛋白を用いたアフィニティカラムクロマトグラフィーによって精製したところ,抗Dsc3抗体は表皮のみならず,培養ケラチノサイトにも反応することが確かめられた.さらに,ディスパーゼを用いたディソシエーションアッセイにて抗Dsc3抗体が表皮ケラチノサイトの接着力を喪失させることが示された.
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