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文献紹介 Duhring疱疹状皮膚炎患者血清またはヤギ抗トランスグルタミナーゼ3抗体をヒト皮膚移植マウスに投与するとDuhring疱疹状皮膚炎様の免疫組織学的所見がみられる
白樫 祐介
1
1慶應義塾大学
pp.443
発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103320
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Duhring疱疹状皮膚炎(dermatitis herpetiformis:DH)は,病理組織学的に表皮下水疱の形成と真皮乳頭部への好中球による細胞浸潤,さらには蛍光抗体直接法で同部へのIgAの顆粒状沈着を特徴とする疾患である.近年DH患者皮膚においてトランスグルタミナーゼ3(TG3)とIgAが真皮乳頭部に沈着していることが示されたものの,沈着のメカニズムは明らかでなく,蛍光抗体間接法ではIgAの沈着が通常みられない理由も不明であった.
今回著者らは,ヒト皮膚を移植した免疫不全マウスに抗TG3抗体を数週間かけて複数回投与することでこの沈着を再現することに成功した.ヤギ抗ヒトTG3 IgGあるいはDH患者血清をヒト皮膚移植マウスに投与したところ,ヤギ抗ヒトTG3 IgGを投与されたマウスで移植皮膚の真皮乳頭部へのTG3の顆粒状沈着がみられ,DH患者血清のうち抗TG3 IgAを高力価で含むものを投与したマウスでは真皮乳頭部へのTG3とIgAの顆粒状沈着がみられた.以上の結果は,TG3がヒト表皮由来であり,抗TG3 IgAが直接沈着したことを示唆するものであった.一方,蛍光抗体間接法ではIgAの沈着が通常みられない理由としては,表皮で産生されたTG3が拡散し,循環血液中から持続的に供給されるIgA抗体と免疫複合体を形成し徐々に真皮乳頭部に沈着していくためと考えられた.
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