Japanese
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特集 熱傷のリハビリテーション
熱傷の治療―熱傷瘢痕の治療を中心として
The Treatment of Burn Scar.
牧野 惟男
1
Koreo Makino
1
1東京医科大学形成外科
1Department of Plastic Reconstructive Surgery, Tokyo Medical College.
キーワード:
熱傷瘢痕
,
熱傷
Keyword:
熱傷瘢痕
,
熱傷
pp.271-275
発行日 1979年4月10日
Published Date 1979/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104135
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はじめに
熱傷の治療は,熱傷ショックに対する救命処置が先行するが,局所的には創面をすみやかに上皮化せしめるとともに,瘢痕による後遺症を最小限にすることにある.熱傷の傷害が真皮乳頭層以下に及ぶと治癒過程において膠原線維が増殖する結果,必ず瘢痕が形成されることになる.すなわち,第Ⅱ度熱傷より深い熱傷では瘢痕を全く残さず治癒せしむることは不可能である.特に肉芽創を形成した場合には植皮等による早期閉鎖をはからねば必ず肥厚した瘢痕を形成し,変形醜形や拘縮を発現することになる.
そして,この熱傷瘢痕は他の外傷に比して比較にならないほど広範囲でかつ高度であることが多い.したがって,熱傷瘢痕に起因する変形醜形,拘縮はしばしば高度であって,患者の一生にわたって肉体的な面だけでなく,精神的にも大きな苦痛となって,社会へ完全に復帰することの大きな障害となっている.
熱傷患者やその家族がまず医師にきくことは「あとが(瘢痕が)のこるでしょうか?」ということである.
熱傷がある深さをこえた場台は瘢痕を全く形成しないで治癒せしむることは不可能である.しかし,適切な治療によって瘢痕の形成を最少限にすることが可能であり,また,一旦形成された熱傷瘢痕によるいろいろの障害についても著明に改善することができる.
今回は熱傷の治療のうち私ども形成外科医が最も悩まされる熱傷瘢痕を中心に述べたい.
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