Derm.2009
皮膚とこころ
上田 英一郎
1
1京都府立医科大学皮膚科
pp.33
発行日 2009年4月10日
Published Date 2009/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412102299
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北の地に「皮膚は愛を伝える臓器だ」と言った偉大な皮膚科医がいたと聞く.ここ数年,皮膚心身医学にかかわる機会に恵まれ,さまざまなことを学んだ.といっても,まだまだわからないことも多い(全部わかると思うことは冒とくだとも思うが).皮膚心身医学を学ばなければ,皮膚を扱うことの奥深さが理解できていなかったかもしれない.皮膚に何かトラブルを抱えて皮膚科を受診する患者のなかには,皮膚以外の問題,例えばそれはいじめであったり,夫からのDVであったり,子どもの発達障害であったり,その患者の人生にかかわる問題と絡んでいることがある.このような場合,いわゆる皮膚心身症と呼ばれるわけだが,皮膚の表面だけを診て,皮膚に焦点を当てた治療を続けても何も解決しない.それどころか,なかには,「治療しているのにちっとも良くならない」とクレームをつけてくる患者も出てくるだろう.
全人的医療といわれて久しいが,疾患だけを診るのではなく,病に傷ついた人を癒すことができればと思っている.若い皮膚科医たちが,さらに「皮膚とこころ」について興味をもってくれることを望む.
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