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特集 トラウマインフォームドケアと小児期逆境体験
身体疾患とトラウマインフォームドケア—小児期逆境体験としてのアトピー性皮膚炎の理解
Adverse Childhood Experiences and Treatments for Atopic Dermatitis
上田 英一郎
1
Eiichiro Ueda
1
1大阪医科大学医療総合管理部
1Department of Medical Safety Promotion, Osaka Medical College, Takatsuki, Japan
キーワード:
Atopic dermatitis
,
Trauma care
,
Steroid phobia
,
Psychosomatic approach
Keyword:
Atopic dermatitis
,
Trauma care
,
Steroid phobia
,
Psychosomatic approach
pp.1143-1149
発行日 2019年10月15日
Published Date 2019/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405205913
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抄録 成人の難治性アトピー性皮膚炎(AD)患者の中には,皮膚科医と適切な治療関係を構築できない例が散見される。これらの患者は,言語を用いたコミュニケーションが不得手で,他者から適切な援助を引き出す能力に欠け,また,感情の調節障害もみられることが多い。その結果,標準的な治療からはずれ,ステロイド忌避に陥ったり,悪徳商法の餌食となってしまったりすることもある。そうすると生命の危機に瀕するような病状の悪化を招き,入院加療を要するような例もみられる。これは,AD患児が不適切な治療のまま幼少期を過ごすと,DVやネグレクトなどの虐待的な養育環境の中で育ったことに匹敵するようなストレスとなることに起因していると筆者は考えている。
ADのような身体疾患の治療にも,治療者がトラウマインフォームドケアの視点からアプローチし治療を行う必要がある。
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