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レジデント教育(Residency Training)
今回は,皮膚科研修の概略について述べようと思う.以前にも述べたように,アメリカの専門医は専門分野のプロという認識が非常に強い.一般医の相談役としてその上に位置付けられているために質の高さが求められ,教育内容も一般医教育の後に2~3年の専門教育が必要とされる.皮膚科の場合は一般研修が1年で済む代わりに,皮膚科研修期間は3年となっている.皮膚科研修内容については,各大学のプログラムによって質,量ともに多少特色があるのはもちろんであるが,アメリカ教育の一つの特色として,基本的な教育方針やレベルがある程度一貫していることが挙げられる.これには,ABD(American Board of Dermatology:アメリカ皮膚科専門医認定会)の貢献が大きいと思われる.ABDは,アメリカ皮膚科医の教育,研修の高水準を保つことを目的としている.レジデントの教育指針を提起し,各プログラムの教育内容を毎年検討し,各レジデントの教育内容とその評価についても毎年検討する.レジデントは毎年,70~80項目にわたって評価され,その通知表はABDに提出される.また毎年ABD主催の皮膚科研修医向けの全国一斉テスト(皮膚科専門医試験の予備テストのようなもの)があり,国内の同期皮膚科研修医の中での自分のランキングが知らされる.さらに,ABDは研修医卒業後の専門医資格試験の管理,その後の研修と教育,10年毎の専門医更新試験の管理も行っている.
私が研修を行ったワシントン大学皮膚科では,表のように2か月ごとに6つのローテーションを廻る.皮膚科一般研修は大学病院,ハーバービュー病院(公立病院),VA(Veterans' Administration:在郷軍人)病院で行われ,小児皮膚科研修はこども病院で,皮膚外科と皮膚病理は大学病院の中で行われる.ほかの大学のプログラムでも,大学病院,公立病院,VA病院での研修は軸であるが,小児皮膚科,皮膚外科,皮膚病理は単独のローテーションになることもあるし,ほかのローテーションの中に組み込まれていることもある.各病院にそれぞれの特色があるため,その研修内容もおのずと異なってくる.大学病院は,臨床,研究,教育を目的とし,患者さんも病気も多少人種差があるものの,日本と大きな違いはない.
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