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USMLE(米国医師国家試験)に合格して喜んでいたのも束の間,アメリカで臨床研修に応募するにはアメリカ方式での実地医療の経験が2~6か月必要であることがわかった.これはエクスターンシップ(外国人の実習一般)やサブインターンシップ(特に一般病棟での実践の場合をいう)と呼ばれ,無給であるがアメリカ人医学生のように授業料を払うこともない.幸いデンバーのVA(Veterans Administration:退役軍人)病院で1996年12月から1997年5月まで6か月間実習をさせてもらうことになった.初めの4か月は専門科でのエクスターンシップで最後の2か月は一般病棟でのサブインターンシップである.アメリカでは,入院患者はまず一般病棟に入院し,病名に応じて専門科に相談される.例えば,天疱瘡の患者は内科に入院し内科医が第一線で患者の治療をするのに対し,皮膚科医は相談役として後ろに控えて監督する.外国人医師は,まず専門科でアメリカ医学に慣れた後で,一般病棟で第一線の戦力として実習するのが常套である.
いよいよアメリカでの実習初日がやってきた.まずは腎臓内科.専門科のチームはアテンディング(指導医)1人,フェロー1人,他科のレジデント1~2人,医学生とエクスターン2~3人とで構成され,毎月メンバーが交代する.言うまでもなくエクスターンは一番下っ端である.久し振りの白衣を着て腎臓内科の部屋に行くと,チームの人たちが私を見た途端に一瞬ハッとするのがわかった.後日わかったことだが,これは私の着ていた日本の白衣のせいであった.日本では時折外科医などが腰までの短い白衣を着ているものの,一般的には医学生も医師も膝までの長い白衣を着ている.ところがアメリカでは白衣の長さと医師の身分は比例するらしく,学生やエクスターンは短い白衣,正式な医師になって初めて長い丈の白衣が許される.では,指導医などは花嫁衣裳のように裾の長ーい白衣を引きずるのかというとそうでもなく,逆に白衣を着ないでスーツということが多い.このことを聞いてすぐに丈の短い白衣を買いに走ったのは言うまでもない.
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