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特集 最近のトピックス2003 Clinical Dermatology 2003
2.皮膚疾患の病態
Netherton症候群とSPINK5
Netherton syndrome and SPINK5
小松 奈保子
1
Nahoko KOMATSU
1
1金沢大学大学院医学系研究科循環医科学専攻血管分子科学講座血管新生・結合組織代謝学(皮膚科学)教室
1Depertment of Dermatology,Kanazawa University Graduate School of Medical Science
キーワード:
Netherton症候群
,
SPINK5
,
バリア機能
,
角質トリプシン様酵素
,
セリンプロテアーゼ
Keyword:
Netherton症候群
,
SPINK5
,
バリア機能
,
角質トリプシン様酵素
,
セリンプロテアーゼ
pp.51-58
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412101232
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Netherton症候群(NS)は魚鱗癬様紅皮症,アトピー素因,低成長,竹節状裂毛を特徴とする先天性疾患であり,serine protease inhibitorをコードするSPINK5を原因遺伝子とする.NSでは,SPINK5遺伝子の変異により角層におけるセリンプロテアーゼ活性の抑制機構が障害され,角質トリプシン様酵素活性が異常に上昇し,角質細胞の過剰な剝離が起こる.これにより皮膚のバリア機能は顕著に低下し,易感染性や体温調節障害など,他の魚鱗癬にはみられない特異な臨床症状を呈する.また,外用剤の経皮吸収も顕著に亢進するため,ステロイド軟膏によるCushing症候群や,タクロリムス軟膏による同剤の血中濃度の異常上昇などの医原性合併症が起こりうる.特に本邦では紅皮症を示さない軽症例が多く,アトピー性皮膚炎との鑑別が困難なことがあり注意が必要である.本稿では,本邦におけるNSの遺伝子変異と臨床症状の特徴を概説し,早期診断のポイント,および角層のトリプシン様酵素活性測定による補助診断法を紹介する.
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