Derm. 2004
バリエーションの科学的評価
松江 弘之
1
1山梨大学医学部皮膚科
pp.133
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100684
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先日外来で,亀頭部,冠状溝に多発する尖圭コンジロームの40歳代男性の患者さんを診察した.患者さんには,通院が必要なことを説明し,液体窒素で多発する尖圭コンジロームの一部に治療を行った.1週間後の再診時には,治療を行っていないところも含めてきれいに治癒し,患者さんに大変感謝された.ご存じのように,尖圭コンジロームは自然治癒がある疾患であり,同様の経験がある先生も多いと思う.患者さんから見ると私は名医に見えたかも(?)しれないが,実はこの患者さんの免疫力がすばらしかっただけである.一方,実験室では,担癌マウスをつくって動物実験をするとき,担癌状態にならずに移植癌細胞が拒絶されるマウスに時に遭遇し,そのマウスには悪いが“どうして拒絶されちゃうの”と頭痛の種となることがある.
最近,癌治療の現場で,種々の樹状細胞療法の臨床試験が行われている.今のところ,フェーズIIIまで進んでいる臨床試験は少なく,本当にこの治療法が生存期間の延長などに貢献するかの治療効果の評価については,その報告が待たれるところではあるが,劇的に効いた症例も報告されている.もし,その治験が統計学的に有効性が証明されない場合は,その患者さんの癌になぜ効いたかの科学的証明がされない限り,癌は自然消退することがあると片付づけられるかもしれない.それは,街角の易者さんにみてもらって,あなたは “日頃の行いがよいからです”あるいは“先祖の供養を行っているからです”などと言われて,そうかもしれないと思うに等しい.
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