Derm. 2004
能登の皮膚疾患
田邉 洋
1
1金沢医科大学皮膚科学教室
pp.139
発行日 2004年4月1日
Published Date 2004/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100685
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落ち着きのない性格が災いし,奉職してからあちこちを渡り歩きました.各地方の風習,食習,生活習慣を体験しましたが,皮膚疾患にも地方色があり,いわばご当地皮膚病とも言うべき疾患がそれぞれの地にありました.今回は石川県で見聞きした皮膚疾患のお話です.
①あまめ
毎年1月2日に能登の門前町に「あまめはげ」という行事があるのを御存知でしょうか.秋田県男鹿地方の「なまはげ」は全国区で有名ですが,その能登版ともいえます.鬼面や天狗面をつけた有志が各家庭を訪問し,「怠け者はおらんかー」と精勤奨励と家内安全を祈る奇習です.その「あまめ」とはerythema ab igneのことで,「あまめはげ」とは北国の冬に暖房具に当たり過ぎて発生する「ひだこ」を鬼が剥離し(あまめを剥ぐ=あまめはげ),不精者を戒めるのが原義です.本家「なまはげ」は「なもみ剥げ」が訛ったもので,「なもみ」も「ひだこ」を指します.
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