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特集 最近のトピックス 2006 Clinical Dermatology 2006
2. 皮膚疾患の病態
抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体症候群
Anti-synthetase syndrome
松下 貴史
1
,
竹原 和彦
1
Takashi MATSUSHITA
1
,
Kazuhiko TAKEHARA
1
1金沢大学大学院医学系研究科皮膚科学
1Department of Dermatology,Kanazawa University Graduate School of Medical Science
キーワード:
抗ARS抗体
,
免疫沈降法
,
皮膚筋炎/多発性筋炎
,
抗ARS抗体症候群
,
間質性肺炎
Keyword:
抗ARS抗体
,
免疫沈降法
,
皮膚筋炎/多発性筋炎
,
抗ARS抗体症候群
,
間質性肺炎
pp.44-48
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100590
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要約 アミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)に対する自己抗体は多発性筋炎/皮膚筋炎(polymyositis/dermatomyositis:PM/DM)に特異的であり,本抗体陽性例では間質性肺炎(interstitial pneumonia:IP)を高率に合併する.当科および他施設の患者血清にて免疫沈降法を行ったところ,抗ARS抗体は皮膚筋炎(dermatomyositis:DM)患者の29%(16/55例),多発性筋炎(polymyositis;PM)患者の22%(2/9例),筋炎を伴わないIP患者の25%(7/28例)に検出された.DM患者にみられた抗ARS抗体は,抗Jo-1抗体3例,抗PL-7抗体4例,抗PL-12抗体3例,抗EJ抗体6例であった.詳細に検討しえたDM患者35例を抗ARS抗体の有無で解析すると,抗体陽性例では陰性例に比べてIP(94% vs 23%)と発熱(64% vs 10%)が有意に高率に認められた.また,抗体陽性例ではステロイド薬内服治療に加え,他の免疫抑制剤の併用を高頻度(87% vs 26%)に要した.抗ARS抗体はこれまでIPを伴うPMに特異的と考えられてきたが,筆者らの解析からはDMにおいてもIPを伴う症例で高率に検出されるものと考えられた.
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