特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗Jo-1抗体および,その他の抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体
井出 宏嗣
1
,
塩澤 史隆
1
,
花岡 亮輔
1
1昭和大学医学部リウマチ膠原病内科
pp.432-433
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101857
- 有料閲覧
- 文献概要
抗Jo-1抗体をはじめとする抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体は,多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)の疾患標識抗体である.対応抗原のアミノアシルtRNA合成酵素(aminoacyl-tRNA synthetase:ARS)は,アミノ酸を対応するtRNAに結合させる反応を触媒する細胞質内酵素である.抗Jo-1抗体は,そのうちのヒスチジルtRNA合成酵素を対応抗原とする.そのほかにも5種類のARS(スレオニル,アラニル,グリシル,イソロイシル,アスパラギニルtRNA合成酵素)に対する,それぞれ抗PL-7,抗PL-12,抗EJ,抗OJ,抗KS抗体が見いだされ,これらの自己抗体は抗Jo-1抗体と併せて,抗ARS抗体と総称される(表1).
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗Jo-1抗体の産生のメカニズムおよび筋炎の病態形成へのかかわりは,いまだに判明していない.①ヒスチジルtRNA合成酵素とEpstein-Barr(EB)ウイルスなどウイルス蛋白,骨格筋蛋白のミオシンとのアミノ酸配列の分子相同性よる交差反応,②アポトーシスによって放出されたヒスチジルtRNA合成酵素の分解産物による自己免疫応答の誘導,などが考えられている.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.