特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科における手術の危険度
口腔咽頭
23.咽後膿瘍切開術・扁桃周囲膿瘍切開術
山崎 徳和
1
,
氷見 徹夫
1
1札幌医科大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.108-112
発行日 2002年4月30日
Published Date 2002/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902541
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
咽後膿瘍は咽頭後間隙に膿汁が貯留したものであり(図1),化学療法の発達に伴って激減し,現在では比較的稀な疾患となっている。咽頭後リンパ節が発達している3歳未満の小児に好発するが,異物,挿管,内視鏡などによる咽頭後壁粘膜の損傷による例や,糖尿病や結核などが誘因となった成人例も散見される。
一方,扁桃周囲膿瘍は扁桃被膜と咽頭収縮筋膜の間に膿瘍を形成したものであり(図2),日常診療でしばしば遭遇する疾患で,その大部分が急性扁桃炎に続発し,成人に多く小児には少ない。成因として,扁桃前上方にある粘液腺の感染が関与してるとの説もある1)。元来,頭頸部領域には筋膜と筋膜の間に疎な結合織を人れる間隙が複数存在しており,隣接する間隙内にこれらの膿瘍が波及すると急激に進展する。
両疾患ともに迅速かつ適切な治療を怠ると,生命に関わる重篤な合併症や続発症を引き起こすことも稀ではなく,その診断,治療には上分な注意が必要である。
Copyright © 2002, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.