特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械,器具
Ⅰ.ナビゲーションシステム
3)頭頸部手術
友田 幸一
1
,
村田 英之
1
,
高島 雅之
1
1金沢医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.23-27
発行日 2001年4月30日
Published Date 2001/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902343
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はじめに
一般に外科医は術前に自分の頭の中(イメージ空間)で手術のシミュレーションを行い,その三次元的イメージに基づいて手術を行っているが,医師個人の経験と技量に差があり,また頭蓋底手術のように複数科の医師によって手術が行われる場合,お互いが同じイメージをもっているとは限らない。医師のイメージ空間の代わりにコンピュータ上の仮想空間をディスプレイすることができれば,三次元的イメージが客観的,定量的になり,しかもチームで同じ画像を見てコミュニケーションをしたり,手術計画アプローチを立てることができるようになる。さらに,この仮想空間が現実の空間(術野)と位置的に正確に対応するように位置合わせ(registration)すれば,手術中に随時参照して適切な判断を下すことが可能になる。このような観点から発案されたのが手術ナビゲーションシステムである。すなわち,三次元ポインターである一点を指すと,ただちにその点を含む断層画像が表示され,その画像上に今指している箇所がマークされる。
耳鼻咽喉科・頭頸部領域の手術は,眼窩,頭蓋底など危険部位が隣接しており,また重要な神経,血管が走行するなど解剖学的に複雑で,個人差が多く存在する。今日,ナビゲーションシステムは,鼻・副鼻腔の手術でその有用性が数多く報告されているが1〜4),頭頸部,頭蓋底手術に関してはまだ少ない5〜9)。
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