トピックス 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域のレーザー治療—その適応と成績
5.低出力レーザーの適応と評価
今中 政支
1
,
竹中 洋
1
1大阪医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.747-750
発行日 2000年10月20日
Published Date 2000/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902252
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はじめに
耳鼻咽喉科医が日常よく使用するレーザーといえばNd:YAGレーザー,KTPレーザー,CO2レーザーの3種類であり,頭頸部外科を専門とする場合は,KTPレーザー一辺倒という先生方も多いと思われる。前項までにその有用性について詳述されてきたので重複は避けるが,これらは数W以上の出力をもっ高出力レーザーである。一方,本稿で述べる低出力レーザーの出力はせいぜい数mWであり,手にかざしても痛くも何ともないばかりか,温かささえも感じることはない。低出力レーザーの生体への作用はレーザー光線のもつ光自身のエネルギーによるものであり,光反応による生体活性効果に基づくものである。
1960年,Maimanが発振に成功したルビーレーザーに続き,1961年にJavanが発振に成功したHe-Neレーザーは低出力レーザーであり,今日の半導体レーザーとともにその代表である。わが国のレーザー治療の歴史は皮膚疾患のルビーレーザーを発端に高出力CO2レーザーの開発が先行しており,He-Neレーザーは1986年に小山田ら1)が慢性関節リウマチの治療に用いて以降急速に普及した。1988年には第1回の研究会が開催され,麻酔科,整形外科,皮膚科の各領域から多数の演題が報告されている。
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