連載 耳鼻咽喉科“コツ”シリーズ 2.検査のコツ
⑥嗅覚検査のコツ
古田 茂
1
1前田耳鼻咽喉科気管食道科病院
pp.937-941
発行日 1998年12月20日
Published Date 1998/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901906
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はじめに
外来で嗅覚検査を行う場合,嗅覚・味覚は化学受容器を介する感覚であるため,聴覚のように物理的受容器を介さないので,聴覚や平衡覚に比べて,嗅覚機能検査の発達が乏しいことを認識する必要がある。臨床的には,嗅覚障害者は聴覚障害者に比べて,その障害の認識が低いと考えられる。また,嗅覚障害に付随する副鼻腔炎などの疾患への関心のほうが高く,嗅覚障害の治療は省りみられないという現実がある。しかし,炎症性疾患の軽症化により,残存する障害に対する関心の高まりや,生活の質の向上に伴って嗅覚の必要性が見直されていることなどにより,最近では,嗅覚障害を主訴として耳鼻咽喉科を受診する患者の増加が認められている。さらに,若年者では交通事故など頭部外傷の機会が増え,それに伴う嗅覚障害も増加している。したがって,これらの患者に対して,嗅覚機能を的確に把握することが耳鼻咽喉科医のinformed consentを果たすことができることはいうまでもない。表1にわれわれが行っている嗅覚外来の検査内容を示したが,以下それについて記載する。
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